● はじめに
令和元年度秋、 千葉県を直撃した台風15号は長期停電という前代未聞の被害をもたらし、 その直後の台風19号、 台風21号の風水害も加わり、
危機的状況となりました。
この過酷な環境下における、 聴覚障害者の情報コミュニケーション保障について、 県庁がまとめた各市町村へのアンケー トによると、 聴覚障害当事者から各役所に「通訳のニーズはなかった」というものでした。
聴覚障害者の実態と乖離したこの結果は、 事の深刻さを明らかしたと言えまし ょう。
当協会は、 発災後から千葉県下全地域のろうあ協会を通して、 安否確認や被災状況の調査に着手しました。 聴覚障害当事者からは「手話通訳を呼ぶすべがなかった」「情報が全くなく恐怖に苛まれた」 などとの悲痛な声が数多く寄せられました。
当協会は聴覚障害者情報提供施設、 手話通訳派遣事業、 ヘルパー派遣事業、各種作業所やグループホームを運営し、 会員事業としての協会活動は県下全域に及びますので、
平時はもとより、 災害などの緊急時の管理体制についても責務が求められます。 特に、 被災地エリアの自治体は千葉聴覚障害者センタ ーと派遣契約関係にある地域ですので、
危機管理体制における綿密な連携についての課題が浮き彫りになりました。
相談支援活動をとおした、 現地での情報収集や調査をするなかで、 緊急時への対応の前提には、 平時からのネットワ ーク強化の基盤構築が不可欠であることも再認識することになりました。
今回、 被災ろう者を中心に、 相談支援を通して対処してきた足跡と問題提起も含めた報告書といたしましたので、 今後の災害対策の参考となれば幸甚です。
この報告書作成にあたってご支援、 ご協力をいただいた皆様にあらためてお礼を申し上げます。 |
編集・発行
千葉聴覚障害者センター
「災害等危機管理対策本部」
社会福祉法人
千葉県聴覚障害者協会
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